それから数日後――
竜生はというと・・・屋敷の中にいた。
しかも、数日前に知り合ったばかりの、信長の居城だった。
なぜこのような所に?と、皆さんお思いになるに違いない。
そんなわけで、今よりご説明しようではありませんか。
長篠の戦いの後2人の再会の時にさかのぼる――
「信長様、そろそろよろしいでしょうか?」
使いの者が言いにくそうに口を挟んだ。すると今まで楽しそうに話していた信長は、いつもの冷めた顔つきに戻る。
「別れだ。しかし・・・言おうか言わずまいか迷ったが、言おう。なぜだろう・・・お前を懐かしく思う。いや、胸がざわめく・・・だがそれだけだ。では、さらばだ。」
それだけを伝えると踏ん切りがついたのか、馬に足を掛けようとした。
そのとき竜生は何か言わないと終わってしまう、という焦りの思いがこみ上げてきた。
気がつくと信長の腕を引っ張ってしまっていた。
それは考えての行動ではなかった。体が勝手に動いたのだ。それには信長も驚いたが、本人もかなり驚いていたようだ。
「あ・・・」
言葉にならない。それを見ていた信長は、しばらく考えた後フッと微笑し、言った。
「お前の『謝らなければならぬこと』を一つ申せ。さすれば儂の城に連れて行ってやろう」
言われたことをすぐには理解しきれなかった。
しばらくたち先ほどの言葉が徐々に理解できてくると、胸に熱いものがこみ上げてきた。そして、頬に涙が伝っているのにも気付かない様子で、必死に言葉をつむいだ。
「わ、私は・・・青柳竜生・・・しかし、あなたには有志・・・と呼ん・でほしい・・・。この、名前はあなた、しか・・・呼ぶ者はいな・・いで・・しょう。わ・・・私は・・男です。こ、れが、わたしの『謝らなければならぬこと』一つです」
この予想外の返答に驚きはしたものの、反対に男であったほうが、都合がいいと思い直した。
「本当なのか?それが一つ目ならば、他の『謝らなければならぬこと』は・・・聞きたいような聞きたくないような・・・。しかし、約束は約束だ。お前―いや、有史・・・連れて行こう。さあ、来い。」
もはやこの二人にはお互いしか見えていなかった。信長は、徐に竜生の眼前に手を差し伸べる。
竜生は、信長の目と差し出された手をしっかりと見つめた。
そして、何の迷いもなく竜生の手は信長の手に重ねられた――
――風は吹く・・・どこまでも・・・留まることはゆるされない――
二人は今、信長の臣下の中でも幹部にあたる者たちしか入れない天幕の中に立っていた。
そして信長は、またいつものように冷たい顔に戻っていた。
しかしこのときばかりは信長に視線を向けるものは居なかった。
ズラリと居並ぶ威厳ある武将たちの視線を一身に受けているのは、一人の十ほどの少年だった。唯の少年ではない。美少年だ。眼が大きく、まつげが長い。肌の色は白く、一つのしみも無い。
しかし、その眼だけがその外見を裏切っている。それは見つめられたこちらのほうが眼をそらしてしまうほどに強く、相手の心を見透かしてしまうのではないか、と思ってしまうほど透明な眼差しであった。
信長は、有史に対し、そのような視線を向けられていることを知ってか知らずか、自己紹介もせずに話を進めようとした。
そしてそれは有史にも言えることだった。
《ここで一応言っておくが、この有史という人物は、『普段はあまり顔を変えない―無表情といってもいい。先ほどのように取り乱していた彼はかなり珍しかったのである。そしてこれが肝心なのだが、彼は感情が無いのではない。表情に表すのが非常に苦手なのである』》
居並ぶ武将たちがそれを納得するはずも無い。
「信長様、そちらに居る少年は何者でしょうか?まさか信長様の隠し子では?」
冗談を交えながら疑問をぶつけてくる。
しかしこの言葉は、半分当たっていた、といってもいい。
「今日より儂の息子と思え。いいな?」
皆には聞こえないほどの声で竜生に囁く。それから皆の座っているほうに話し出した。
「この童の紹介をしよう。この者は今日より我が息子だ。ただし、継承権は無い。名は有――」
「信長様っ!」
有史の名を言おうとする信長を遮る者が居た。他でもない、紹介されている本人、有史であった。
怪訝な顔をする信長とその臣下たち。
信長にしか聞こえない声で「その名は信長様だけのものです。他の者にそう呼ばれることは耐えられぬこと。お赦しください。」
それだけ言うと今度はその小さな体を居並ぶ武将たちに向けた。
「私は竜生―青柳竜生と申します。以後お見知りおきを。」
中性的で鈴が鳴るような美しい声。しかし、全く物怖じ一つしない凛とした芯のある声だった。
信長は、ニヤリと笑い「以上だ。」とだけ言った。
このように言われればもう誰も口を出すことは出来ない。
織田信長は、『絶対』なのである。
ここでそれぞれの者たちに様々な印象(いずれも強烈)を残し、マンジリともせずにその夜は過ぎていった。
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この記事へのコメント一覧
イってもすぐまたヤっての繰り返しで結局5連続だぞww
1 0 万 もらえたからいいものの、大事な息子はまだジンジンしてまふww(・w・)
http://hevry.net/superenjyo/ [削除]
V[(GLD`)TVcAI
ヒAB
(KtK)E}[ [削除]